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会話を奪わずに、会話を支える技術。
AIが流暢に話すことと、人と人の会話を支えることは、まったく別の技術です。 コンチェルトは「聴く・見る・待つ・つなぐ」を介護現場の実環境で磨き上げた、 リアルタイム・グループ会話ファシリテーションの技術基盤です。
AIは、主役にならない。
一般的な会話AIは「人とAIの1対1の対話」を前提に作られています。 コンチェルトが挑むのは、複数の人が同時に話す「グループ会話」。 誰が話しているのかを聴き分け、誰が話したそうにしているのかを見抜き、 会話の流れを壊さない絶妙な間で、短く介入する—— AIの発話を最小限に抑え、人と人の会話を最大化することが、私たちの技術目標です。
マスク着用4名でも話者を識別(実運用条件)。音源方向・声紋・マスク耐性モデルの多層融合で、介護現場の実環境に対応します。
AIの発話比率。発話交代をリアルタイムに予測し、自然な間で短く介入。AIは喋りすぎず、主役は利用者さんです。
1セッションの参加人数。一人ひとりに発言の機会がまわる人数に設計し、グループ会話のファシリテーションに特化しています。
※ 数値は実証・実測値(開発中プロトタイプ)。今後の開発・実証により変動する可能性があります。
コンチェルトを支える、6つのコア技術。
静かな実験室ではなく、生活音にあふれた介護現場で動くこと。 すべての技術は、デイサービスでの実証を通じて鍛えられています。
マルチモーダル話者識別 — マスク姿でも、誰の声かわかる
介護現場では、職員も利用者さんもマスクを着けたまま話します。口元が見えず、声もこもる環境で 「いま誰が話したのか」を特定するために、音の到来方向・一人ひとりの声紋・カメラ映像による 口の動きの解析を多層的に融合。マスク着用の4名同時会話でも、実運用条件で約80%の精度で話者を識別します(理想条件ではより高精度)。
発話交代のリアルタイム予測 — 会話の「間」を読む
人の会話には、譲り合いと割り込みの繊細なリズムがあります。コンチェルトは音声から 「そろそろ話し終わりそうだ」「続きを話したそうだ」をリアルタイムに予測する 発話交代予測技術(VAP系の大学発公開研究成果を含む)を活用。人の発話に被せず、 不自然に待ちすぎず、ちょうどよい間で相槌や問いかけを差し込みます。
参与構造のトラッキング — 「話せていない人」に気づく
グループ会話では、誰かが話し続け、誰かが聞き役のまま埋もれてしまいがちです。 コンチェルトは発話量のバランスに加え、表情や視線から会話への参加度合いを推定。 会話分析の知見(参与構造)に基づいて「いま輪の外にいる人」を見つけ、 その人の興味に合った話題で自然に輪の中へ橋渡しします。
低遅延応答パイプライン — テンポを壊さない
応答が遅いAIは、会話のリズムを壊してしまいます。音声認識・応答生成・音声合成の パイプライン全体をストリーミング化し、よく使う言い回しはあらかじめ合成しておくなど、 高齢者との会話で特に大切な「待たせない」テンポを保つための作り込みを重ねています。
聞こえやすさ・伝わりやすさのデザイン
加齢による聞こえづらさがあっても会話に参加できるよう、3Dアバターの表情・口の動き、 リアルタイム字幕、聞き取りやすい合成音声を組み合わせた多チャネル設計を採用。 「耳だけに頼らない」インターフェースで、一人ひとりの参加のハードルを下げます。
記憶するファシリテーター — 「覚えてもらってる」をつくる
コンチェルトは過去のセッションの内容と、一人ひとりの趣向・思い出を記憶します。 「そういえば、昔お茶を習っていたそうですね」と過去の話題を呼び起こすことで、 「自分のことを覚えてもらっている」という体験が生まれ、会話への意欲につながります。 蓄積されたプロファイルは職員に共有され、日々のケアの質向上にも活かされます。
なぜ今、「会話」なのか。
会話は、最も身近な認知活動であり、社会活動です。 社会的なつながりの乏しさは認知症の修正可能なリスク要因のひとつとして国際的に報告されており、 日本では孤独・孤立対策推進法が施行されるなど、「つながり」は公衆衛生の課題になっています。 一方で、人材不足が続く介護現場では、一人ひとりの会話に職員が時間を割くことがますます難しくなっています。
だからこそ、職員の手を増やさずに「人と人が話すきっかけ」を生み出す技術に、私たちは取り組んでいます。 実証で得られる会話データの蓄積は、将来的に認知機能の変化への気づきなど、 新しい価値へつながる可能性も見据えています。
参考
- Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. The Lancet, 2024.(社会的孤立を認知症の修正可能なリスク要因のひとつとして報告)
- 内閣府 孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」
- 経済産業省 介護人材需給推計(2035年 約68万人不足)
実証の現場で、鍛える。
コンチェルトの開発はラボでは完結しません。京都の介護施設のご協力のもと長期の実証実験を行い、 生活音・マスク・聞こえづらさといった実環境の壁に技術で向き合い、 職員・利用者さんの声をプロダクトに反映するサイクルを回しています。
データの取り扱い
会話の記録は、ご本人・ご家族の同意のもとで取得し、ケアの質向上とレポート提供の目的に限って利用します。目的外の利用はせず、適切に管理します。
共同研究・技術パートナー
会話分析・音声処理・福祉工学などの研究機関、現場実証にご協力いただける介護事業者さまとの連携を歓迎しています。お気軽にお声がけください。
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